色々と問題が伝えられているパリオリンピックですが、女子ボクシングでは男性染色体と言われるXY染色体をもつ2名の女子ボクシング選手が出場し話題になっています。
イマネ・ケリフ選手は性分化疾患の可能性
女子ボクシング66キロ級に出場しているアルジェリア代表のイマネ・ケリフ選手が話題になっています。問題になっているのはイマネ・ケリフ選手が去年の国際ボクシング協会(IBA)の大会に出場した際にDNA検査でXY染色体をもっていると診断され、また体内の男性ホルモンを表すテストステロン値が一般女性より高いと判断されたために同大会を資格基準を満たさないと判断(女性ではない)され失格となった事が原因だと考えられます。では、問題となったXY染色体とは何なんでしょうか?
染色体とは?
ヒトの細胞の核の中には、23対46本の染色体が含まれています。染色体は、大きさと染色のパターンから識別されます。1~22番までの各1対計44本の常染色体と、性別を決定する1対2本の性染色体があります。性染色体は基本的にはX染色体とY染色体が1本ずつ(XY)の場合には男性、X染色体が2本(XX)の場合には女性となります。今回問題となっているイマネ・ケリフ選手はこの性染色体がXY染色体であり体は女性であっても能力としては男性に近いという事になります。情報元:eurofins
性分化疾患とトランスジェンダー
イマネ・ケリフ選手はXY染色体をもっているという事で多くの方が同選手を男性だとし問題化しまた一部では同選手をトランスジェンダーとしてとらえているようですが、トランスジェンダーとは
「トランスジェンダー(Transgender)」とは、生物学的性と性自認が一致していない人をいいます。レズビアン(Lesbian)・ゲイ(Gay)・バイセクシュアル(Bisexual)・クエスチョニングまたはクィア(Questioning, Queer)とともに「LGBTQ」と総称されている人々。
今回のイマネ・ケリフ選手は身体、見た目は女性ですが細胞レベルで観ると男性という事で性分化疾患では?と言われています。ですのでどこで判断をするのか?が問題となりますが見た目で判断をすると女性だと思います。
性分化とは、性染色体(X染色体とY染色体のことを指します)に基づき精巣や卵巣が発育し、男女それぞれに特徴的な内性器(体の中の性器)や外性器(体の外側の性器)が造られる過程を指します。性分化疾患とは、この性分化のステップの何らかにトラブルが生じ、性染色体、性腺、内性器、外性器が非典型的である生まれつきの状態に使われる用語で、多くの疾患(体質)を含む総称です。情報元:日本小児内分泌学会
今回の大会で圧倒的な強さを見せたイマネ・ケリフ選手ですが、前回大会の東京オリンピックでは試合に負けています。今回理不尽なバッシングを受けているイマネ・ケリフ選手のために同選手に勝利をしたAmy選手がイマネ・ケリフ選手に勝利した試合をXに投稿して「彼女は男性ではない」とコメントしています(現在動画は削除された模様)
まとめ
結論を言えばイマネ・ケリフ選手はトランスジェンダーではなく、男性染色体と呼ばれるXY染色体をもつ性分化疾患を持つ女性だといえます。故にこの問題は個人ではどうする事も出来ずと大会主催者側の判断に従うしかありません。
問題は参加許可を出したオリンピック協会の問題だと言えます。ですので今回ボクシング競技に参加をしている選手全員に対して丁寧な説明が必要ではないでしょうか。ちなみにIOCは今回の問題を受けて
「すべての人が差別なくスポーツをする権利を持っている」としたうえで、「選手の性別と年齢はパスポートに基づいている」
と強調しています。「権利を持っている」と言うのなら、その「権利」をIOCが保障する事も必要になってくるのではと思います。また今回のような特殊性を持つ選手をどのようにオリンピックに参加をさせるのか?という事も新たな課題になってくるのではないでしょうか。