去年末から今年に入り警察官の不祥事が続いている鹿児島県警ですが、5日、職務上知り得た秘密を退職後に漏らしたとして、国家公務員法(守秘義務)違反の疑いで逮捕、送検された前鹿児島県警生活安全部長の本田容疑者が事件を起こした動機について法廷で意見を述べました。記事元:KTS鹿児島テレビ
【鹿児島県警不祥事】本田尚志容疑者(60)が逮捕された事件とは?
5月31日に鹿児島県警の前の生活安全部長である本田尚志容疑者(60)が、警察情報を第三者に漏らした疑いで逮捕されました。逮捕について警察庁の露木康浩長官は6日の会見で「鹿児島県警察の前生活安全部長が、県警の他の部長の氏名住所電話番号などを問い合わせ先などと記載した上で、公表を望んでいないストーカー規制法違反事件の被害女性の実名などを第三者に漏らしたという国家公務員法違反事件」と説明しました。
本田尚志容疑者(60)は、自分が起こした事件について「野川明輝本部長が県警職員の犯罪行為を隠蔽(いんぺい)しようとしたため漏らした」と主張しました。では、野川明輝本部長が隠蔽を図った思われている事件はどんな事件なのでしょうか。
2023年12月、枕崎警察署の巡査部長女子トイレ盗撮事件
事件は枕崎市内にある公園の公衆トイレで起こりました。個室を利用した被害者女性がドア上方にスマートフォンのような物があるのを目撃します。驚いた女性が声を上げてドアを開けたところ、その場にいた盗撮犯とみられる男が走り去り、近くにとめていた白い車に乗って逃走しました。被害女性は最寄りの枕崎署にパトロールを要請。同署が付近の防犯カメラを調べたところ、先の「白い車」が同署の捜査車輌であることがわかり、事件のあった日時に当該車輌を使っていた職員が特定されました。
事件発生後容疑者を特定した枕崎警察署は、当然ながら容疑者である警察官のスマートフォンを差し押さえるなどの捜査を検討しましたが、これに県警幹部から「静観しろ」と指示があったとされています。その後、5月13日に建造物侵入容疑でこの警察職員が逮捕されました。その後の取り調べのなかで12月のトイレ盗撮事件に関与をした疑いが出てきたそうです。
巡回連絡簿悪用事件
2022年4月県警の巡査部長がパトロール中に立ち寄った事業所で一般の20歳の女性と知り合います。当初は巡回の際に世間話をする間柄だったそうですが去年の4月ごろから二人は個人的にメッセージを交わす間柄となります。が、そのきっかけが巡査部長が駐在所の巡回連絡簿から女性の個人情報を不正入手し女性の携帯電話にメッセージを送信したのがきっかけとされました。
初めは当り障りのない返事を返していた女性被害者ですが、そのうちに食事の誘いやラブホテルについてメールが送られてくるようになり、女性は交際相手である警察官に相談をし事件が発覚しました。捜査の結果メッセージを送った巡査部長の行為がストーカー行為に当たるとして女性と両親に謝罪したうえで捜査状況等を説明をしますが、被害女性が事件化を望まないとして捜査は終了。この事件が立件されることがなくなりました。立件されなければ報道機関に発表する必要はなくこの件は闇に葬られたままとなっています。 記事元:事件の詳細を送ったと思われるニュースサイト・ニュースハンター
犯行の理由は:不祥事を隠蔽しようとする姿に愕然と、失望
本田容疑者は今回の事件を起こした理由について
「本部長が警察官による不祥事を隠蔽しようとする姿にがく然とし、また、失望しました。県民の皆様に申し訳が立たないと思いました。私は、いち警察官として、目の前に犯罪があり、容疑者も分かっているのに、その事実を黙殺しようとする姿勢が理解できず、心底腹が立ちました。県民の皆様の安全より、自己保身を図る組織に絶望しました。」と説明しています。
記事元:FNNプライムオンライン
この事件に関して野川本部長は「(容疑者の)主張は承知しているが、いずれも容疑者を逮捕するなどして必要な対応を取っている」と説明しました。
また、鹿児島警察OBや現職警察官からは
- 「部長の立場にある人が組織の隠ぺい体質を変えようとするなら、本部長に正面から具申すべきだった」
- 「内部告発をするなら自身の名前を明かして、しかるべき方法をとるべきだったのではないか」
- 「本部長からアドバイスはもらったことはあるが、理不尽に否定されるようなことはなかった」
といった声があるそうです。